ウォーターサーバーの衛生管理

ウォーターサーバーの利用を検討されているほとんどの方は、衛生面も気にされていることでしょう。毎日使うからこそ安心して安全に利用したいですよね。そこで今回は、衛生面での注意点を見てみましょう。

便利な機器の落とし穴

衛生的に使用するには正しいメンテナンスが重要

ウォーターサーバーは温水や冷水を直ぐに使える事ができるとても便利な道具です。しかし、衛生的に使用するためには単に便利さだけではなく、衛生的な状態を維持できるような機能が付いたものであれば、日々のメンテナンスも楽になるでしょう。正しくメンテナンスをしながら使っていくことが重要です。

ウォーターサーバー内に潜む細菌

既にウォーターサーバーを利用している方の中には、ほとんどメンテナンスなんかしていないという方もいるかもしれません。本体が汚れたから布などで拭いているだけとか、チョット待ってください。

大部分のウォーターサーバーで使われるミネラルウォーターは、水道水のように塩素が添加されていないため、衛生管理を怠ると空気が触れる部分の水の注ぎ口や、水のパックと本体の接合部等で「バイオフィルム」と呼ばれるぬめりが形成され雑菌が繁殖する恐れがあります。

雑菌の種類

衛生管理を怠ると次のような雑菌が繁殖することが予想されます。ここからは、どのような雑菌があるか見ていきましょう。

従属栄養細菌

栄養が少なく、比較的低温の環境を好む細菌群です。塩素殺菌に強いという報告もあります。直接的には人体に害はないとされているため基準はありません。配管や水槽内にバイオフィルムと呼ばれるぬめりを形成する要因になります。このバイオフィルムの内側は有害な細菌が繁殖しやすい環境になるため、こまめな洗浄・殺菌消毒が欠かせません。

カビ・酵母

空気中にはカビの胞子が多量に浮遊しているため、外気がそのまま入り込むような構造のウォーターサーバーでは多数検出される場合があります。カビの中には、いわゆるカビ毒を産生するものがあります。このカビ毒は加熱してもほとんど分解されません。食品中のカビ毒は10ppb未満とするように規制されています。こまめな洗浄・殺菌消毒が欠かせません。

一般生菌

ペトリフィルム
©ペトリフィルム 37℃ 48時間培養

赤い点一つ一つが一般生菌のコロニーです。37℃で標準的な栄養素を含む培地上にコロニーを形成する細菌で、汚染の指標とされています。培地の組成や培養時間が若干異なりますが、一般細菌と呼ばれる細菌とほぼ同様のものと考えてよいと思います。飲用水中では1ml当たり100個未満とする規定があります。病原性大腸菌や黄色ブドウ球菌なども、この細菌の仲間です。

●「ペトリフィルム」は3M社の登録商標です。

レジオネラ菌

環境中に常在する細菌で通常、感染症を引き起こすことは少ないのですが、高齢者等抵抗力の少ない人が湯気や水滴と一緒に肺に吸い込んだ時、いわゆるレジオネラ感染症になる場合があります。レジオネラ菌については浴槽・給湯設備などにおいて基準があり、浴槽水100ml中に10個未満とされています。こまめな殺菌消毒・洗浄が欠かせません。

ノロウイルス

感染経路はほとんどが経口感染と考えられています。感染経路の一つとして、ノロウイルスに汚染された井戸水や簡易水道を消毒不十分で摂取した場合などがあげられています。特徴は非常に小さいため除菌用フィルター(0.2μm)では除菌できないことです。85℃1分以上の加熱で失活するため、加熱殺菌は有効です。

以上のように、細菌には様々な種類とそれぞれ特有の特徴があります。ウォーターサーバーのメンテナンスを怠ると、直ぐにこれらの細菌が繁殖してしまいます。こまめなメンテナンスをしながら上手に使っていきましょう。

日田天領水ウォーターサーバーの細菌検査

日田天領水のウォーターサーバーは、蛇口のついたバッグインボックスという水のバッグを、直接冷却装置で冷やしているため水が傷みにくくなっています。タンクに水を貯めずに直接バッグから水が出てくる構造なので雑菌が繁殖しやすい配管類もありません。又、水を使用するごとにバッグがしぼむため、蛇口からの空気の流入がほとんど無いのでバッグ内に雑菌が入りにくい構造になっています。

日田天領水ウォーターサーバーの細菌検査
日田天領水ウォーターサーバーの細菌検査

A社ウォーターサーバーと日田天領水の一般生菌数の比較

水のように栄養分の少ない環境でも一度発生した細菌はものすごい勢いで増殖していきます。

A社ウォーターサーバーと日田天領水の一般生菌数の比較
日田天領水品質管理課資料「2007ガロンボトル設置型ウォーターサーバー衛生試験」より

ウォーターサーバーは便利な機器ですが、安心して安全に利用できるように、こまめにメンテナンスをしながら衛生面に注意して使っていきましょう。